不登校の支援者としてこれまで多くの親御さんと子どもたちと接してきました。
最初は簡単な気持ちで学校を休んでしまったけれど、いつの間にか本当に行けなくなって苦しんでいた子、友達関係の問題がこじれてしまって行けなくなった子、動き出そうにも休んでいたことをクラスの子にどう思われているかが気になってしまって動けなくなっている子、親子関係の不和から引きこもってしまった子……これまで全国各地の多種多様な不登校の事例に支援の手を差し伸べてきました。
ひとりひとりの心の声に慎重に耳を傾けると、不登校の子どもたちの心の奥には「本当はみんなと同じように学校へ行きたいんだ」というメッセージを感じ取ることができます。 私は現場の支援者として子どもたちのメッセージをしっかりと受け止めて複雑に絡み合った現実問題と気持ちの問題を紐解いていきます。その結果として2度と学校へ行くことはないと本人も親も思い込んでいたケースでも、再び笑顔で玄関を駆け出して登校をし、先生やお友達に迎えられながら校門をくぐる場面に何度も立ち会わせていただきました。
拙著でも書いていますが私は学校へ行かないことが悪だとは思っていません。それなのになぜ子どもたちの復学を支援するのか。それは不登校になってしまってからの家庭内での子どものマイナスの変化を問題視しているからです。 不登校になる前にはなかった家庭内暴力、幼児退行、ひきこもり、昼夜逆転の生活、物欲が我慢できない、ゲーム漬けの毎日、自己肯定感の低下などが挙げられます。
そのマイナスの変化をどのように捉えて対応をしていくべきかの課題を親だけが背負い込むのは無理があります。 このように不登校は子どもだけの問題と線を引くことは難しく、結果的に家族を巻き込んでしまうことが往々にしてあるのです。それゆえに私は子どもも親も「家族」というひとつのシステムと捉えて支援をする親の学びプログラムをベースとした支援手法により親御さんには「不登校の子どもに対する家庭教育」のアドバイスとカウンセリングを行っています。
私たちは不登校の子どもたちに直接的に対応をする「訪問カウンセリング」と親御さんをサポートする「PCMを中心とした家庭教育支援」により多くの不登校の子どもたちを復学へと導いてきました。 今不登校の問題で不安に思われている親御さん、どうかあきらめないでお気軽にご相談くださいね。
復学を目指し、継続登校をサポート
愛する我が子が不登校になり、私たちの支援を受けて乗り越えていきます。不登校を乗り越えた親御さんたちが一様におっしゃるのが「もっと早くに親が自立を育む家庭教育を学んでおけば、子どもにこんなつらい思いをさせなくてもよかったのに…」ということ。
不登校復学支援を続けていく中で不登校を早期に解決するという考え方以外の視点が私の前に広がりました。それは「不登校は子どもがつらいと感じるのと同じくらい親もつらい」ということと、「このようなことになる前に予防できなかったのか」ということです。
私がペアレンツキャンプを立ち上げた頃の不登校支援の多くは、「事後対応・腫れ物に触るな」というスタンスでした。そこから時代が進み、現代の不登校支援では「早期発見・早期対応」の重要性が語られています。しかし、私が本当に大事だと思っているのはさらにその一歩先のビジョンです。そうです。
「未然予防」です。
今の時代、学校教育で担うものと家庭教育で担うものとの線引きがあいまいになっているように感じます。その結果、子どもに問題が生じたとき、その責任を押し付け合っている状況では子どもがかわいそうです。 また、生活習慣病などであれば予防の概念が広がりを見せているのに対して、不登校や非行などの子どもたちの問題行動に関してはまだまだ予防の概念の認知が進んでいない状況も残念だと感じます。
そこで私が推し進めているのがPCM(親のカウンセリングマインド)です。 親がカウンセラーのテクニックを子育ての中で応用していくことで家庭教育の学びを深め、子どもの自立を家庭内で育むという考え方です。
親が学ぶことに主眼を置いたこの手法は予防的な家庭教育の考え方に根差すものです。親の対応法を変えることで家庭力を高めて子どもたちの自立心や社会性を育み、社会(学校)に適応できるような生きぬく力を身に付けていきます。そうすることで不登校予防の一助を担えるのではないかと信じています。
子育てに不安を感じておられる親御さん、もっと今以上に子どもを伸ばす家庭教育を学びたいと思っている親御さん、朝の行き渋りなどでお悩みの親御さん、お気軽に私たちにご相談くださいね。
未然予防の家庭教育はペアレンツキャンプの家庭教育支援コースだけではなく、多くの自治体などで講演会の機会を頂いております。北は北海道、南は沖縄までこれまで全国各地で家庭教育の情報発信をおこなってまいりました。対象も幅広く、現在子育てに励まれている保護者だけではなく、学校関係者、行政関係者、地方議員など講演会やセミナーのニーズは多種多様です。
また未来の家庭教育の担い手である子どもたち(高校生及び大学生)にもキャリア教育の一環としてお話させていただいたりもしています。
子どもは国の宝…と言われて久しいですが、子どもが宝であるならばそれを育て導く親もまた宝です。今後も様々な媒体、様々な場所で未然予防のための家庭教育を発信していきたいと思っています。
親が変われば子も変わる!
ペアレンツキャンプという社名には、「親のトレーニング場」「親の相談所」「親の交流広場」たる支援機関になりたいという願いが込められています。子どもをどう変えるかなど、子どもの変化だけを求めるのではなく、「親がまず家庭教育を学んで変わる」ということに主眼を置いた支援機関にしたかったからです。 不登校の子どもたちへの訪問カウンセリング(アウトリーチ型支援)の手法が注目されている当センターの支援ではありますが、あくまでも私たちの支援の対象者は親であるということです。
今の時代は、子どもたちの明るい未来のために親御さんがどのように子育ての中で努力すればいいのか不明確になっているように感じられます。 「どうやったら〇〇君、〇〇ちゃんのように良い子に育つのだろう?」 「ウチの子はなんでこんなに繊細で心配性なのだろう?」 「私の子育てが悪かったのかしら?」 「私の子育てはこれであっているのかしら?」 「なぜウチの子は学校に行けないの?」 このような悩みを小中学生の子どもたちを育てている親御さんたちが抱えながら不安の中で、時に孤独を感じながら子育てに向かい合っているのが現状ではないでしょうか。 そこで、ペアレンツキャンプは「愛しましょう」「信じましょう」「待ちましょう」などの抽象的なアドバイスだけではなく、具体的に今、目の前で起きている悩みを親としてどのように捉えればいいのかということから始まり、向かう先にはどうすれば親が子どもの問題を予防したり解決したりできるのかということを個々のケースを分析しながら親御さんと歩んでいきたいと考えています。
過保護や過干渉が良くないということはすでに多くの親御さんが知っています。しかし、子どもに良かれと思ってしたことが過保護であったり、焦りや不安から結果的に過干渉になっている親御さんは少なくありません。またそのような子育ての積み重ねの影響として「学校に行きたいけれど行けない!」という状態にお子さんがなってしまい、残念ながら不登校につながるケースも少なくありません。そのような問題においては、親御さんの家庭内対応による早期対応・未然予防が大切なのです。
ペアレンツキャンプは、独自の経験の中から予防的な家庭教育の考え方と不登校復学支援のメソッドを開発し、提供しています。
私たちの活動が、子育てで悩んでいる親御さんの支えとなったり、学校へ行けなくなってしまった子どもたちが笑顔で再び登校路を駆けていくことにつながっていく。そして今以上に関西と関東と中部で組織化された不登校を乗り越えた親の会の活動がさらに盛り上がっていく。そのような未来を描き、それを果たしていくことで、社名に込めた願いがいつの日か果たされると信じて家庭教育アドバイザーも訪問カウンセラーも日々、支援に奔走しています。
ペアレンツキャンプ組織概要のページ
悲しみの涙を喜びの涙へ
家庭の支援者、不登校の子どもの支援者として全国各地で復学支援をしてきて思うことがありました。 それは「家庭のドラマを紐解き、悲しみの涙を喜びの涙に変えていく支援は尊いものだ。でもそれ以上に新しい悲しみが生まれることを未然予防することも尊いことではないか」ということです。支援を通じて子どもが学校へと戻り、家庭が笑顔に包まれる。でもまた違う家庭からの不登校の相談メールが後を絶たず、むしろ年々ご相談件数は増加傾向にあります。果たしてそれでいいのかと私の心の中に疑問が生まれました。
未然予防の観点からペアレンツキャンプでは親学びに主眼を置いた家庭教育支援コースもありますが、民間機関で出来ることは限られます。すべての親に子育ての「学び」と「気づき」の楽しさを知ってもらうためにはユニバーサルな家庭教育支援を行っていくことが求められるのではないでしょうか。そのためには行政がしっかりと家庭教育支援施策を推進していくことが大切です。そこが果たされたとすれば不登校にならなくてもよかった層や重篤な家庭内問題を抱えなくても良かった層を未然に救えるのではないかというのが私の考えです。
そのような観点から、私は文部科学省(国)の家庭教育支援に関する検討委員会の委員として国の家庭教育支援の方向性に民間機関の立場で意見を伝えたり、教育委員会(地方)の教育委員などをすることで不登校の未然予防のための家庭教育支援の推進に携わっています。 また日本のみならず、世界には「困り感」をもって生きている親や子どもたちがたくさんいます。私は日本の不登校支援の専門家としてそのような人々にも何かできることはないかと考え、これまでにタイやフィリピンなどの諸外国に自ら赴き、出来る限りの援助を行ってきました。
民間機関としての不登校支援活動だけではなく、地域の、国の、世界の親子の笑顔のために今後も社会貢献活動をしていきます。
公的な委員としての活動
- 文部科学省「家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会」委員(2016)
- 大東市教育委員会 教育委員(2015〜)
- 文部科学省「家庭教育支援手法等に関する検討委員会」委員(2015)
- 文部科学省「家庭教育支援チームの在り方に関する検討会」委員(2013)
- 大阪府教育委員会「こころの再生百人衆」
- フィリピンミンダナオ島不登校支援プロジェクト
- 北タイにおける次世代育成のための環境教育プロジェクト
教育分野のプロジェクト立案