小学生も中学生も、学校に通う以上切っても切り離せないのが「宿題」でしょう📝

昨今は長期休暇明けの宿題提出をきっかけにした不登校の増加を鑑みて、宿題自体の減量や廃止を謳った学校も増えてきたようですね。
しかし、根本的な問題の解決に向かっているというよりは対象療法的な方法である感じは否めません。

目次

みなさん、こんにちは。どんきー先生です🌱

長期休みの宿題は普段よりも量が多い学校がまだまだ多い印象を受けます。

夏休みの宿題をどうこなしていくのかというのはいつの時代もテーマに挙がるもので、子ども達にとっても親御さんにとっても頭を悩ませる問題の一つとなることが多いでしょう。

宿題の完成に固執するタイプ

子ども
宿題が終わっていないと学校に行けない!

と言い出すお子さんは、責任感が強く、完璧主義傾向があり、壁にぶつかった時に乗り越えるのではなく逃げる方針を選びやすい性格傾向であることが多いように感じます。

責任感が強いことは悪いことではないですし、完璧主義は転じて高い成果を出すことが可能になります。
しかし、子どものうちはそういった自分の性格と、目の前の現実とのギャップになかなか向き合うことができないため、向き合うこと、逃げる以外の選択肢を考えることが面倒になってしまいがちです。
その結果、すべてを投げ出してしまうというケースが残念ながら多いようです。

理想の自分になるために努力しなければいけない

大切なのは現実の自分と、理想の自分にギャップがあった時、如何にして納得のいく自分となるかです。
多くの場合、「理想の自分に近づくために努力することが大切だ」という考え方が正しく、模範的であると考えられます✨

私としてもそれができるのであればベストだと思います。

しかし、では他の選択肢は許されないのかというとそんなことはないと思います。
理想の自分に今の自分を近づけるための努力が、今の自分を苦しめてやまないのであれば、今の自分に理想の自分を近づけてやることもベターな選択肢であると思うのです💡

今の自分に合わせてあげることの大切さ

端的に言えば「理想を今の自分に合わせて下げる」ことが求められます。

しかし、言葉の印象からどうしてもマイナスな選択肢であるように捉えられがちです💦

単純に「目標を下げましょう」と伝えてもそれを受け入れ難い子どもは多いものです。

特にプライドの高い子どもは目標を下げることに対しての抵抗感は強い傾向にあるでしょう。

親御さんや周りの大人からいくら正論を伝えたとしても、本人が受け入れられない状態なのであれば変えることは難しいと言わざるを得ません。

むしろ、「理想の自分や今の目標に対して遥かに遠い状態なのであれば、そこまでの間に小さいゴールを作って行こう!」というように目標の細分化をしていけるといいでしょう。

そうすることで、遥か遠い目標で目指すこと自体が億劫になっていた子ども達でも、「あっ、この目標ならできるかもしれない」という手が届きそうな小さなゴールを設定していくと動き出せる子も増えてきます。

それだけでなく、小さなゴールを設定することでその一つ一つをこなしていけると結果的に「できた」が増えていきます。

それが次第に子ども達の自信へと繋がるということはよく見られることです。

子ども達の自信に繋がっていくと、これまで「できないだろう」と思っていた手の届かない目標に対しても「もしかしたらできるかもしれない✨」と自己効力感に繋がり、その後いい流れで目標まで向かっていくことができるケースもあります。

ケース紹介

支援を受けられた方の中でも、上記のような長期休みの宿題ができていないことを理由に不登校がスタートする子は割と多いです。

その中でも今回は小学生と中学生のケースを1つずつ紹介していきます。

小学5年生、男子、A君

A君は元々やりたくないことを後回しにするタイプでしたので、これまでの長期休みの宿題は夏休み後半に親御さんが手伝って仕上げるのが当たり前のお子さんでした。

5年生の夏も親御さんが手伝いながらなんとか宿題を終わらせましたが、夏休み最終日に再度宿題の確認をすると、数点の宿題を確認し忘れ手つかずのまま残っているという状態でした。

それに気づいたA君は酷く親御さんに対して「何でちゃんと確認していないんだ!お前たちのせいだろう!!」などと発言する始末・・・。

A君は努力はしたくないけれども、プライドは高い子だったので宿題が出来ていないことで先生に叱られることや、クラスのみんなから馬鹿にされるようなことになるのは避けたかったようです😫💦

親御さんも「確かに私たちがちゃんと確認してあげたらよかった・・・。」と思う反面、「あなたの宿題でしょう!」と思う怒りの感情が湧きあがり、親子で大喧嘩してしまいました。

その翌日からA君は「宿題できてないから学校行かない」と頑なになり、不登校になって行きました。

~支援を開始してから~

支援の中では、子ども上位になっている部分が目立ったので、子ども上位にならないような対応を意識して作るところから始めました。

そうすることで次第に子どもが自分のことを自分でできるような流れになり、親を頼るということが少なくなっていきました。

特に宿題に関しては、これまで親御さんから逐一「あれやりなさい」や「宿題そろそろ始めないとダメなんじゃない?」等の声かけがあったご家庭でしたが、それでもA君は反発してやらないことも多いご家庭でした。

親御さんの干渉をA君に合った適切な頻度にしていき、基本的には宿題のことはA君から言われたらサポートするぐらいの待つ姿勢を維持してもらいました。

その結果、復学してからのA君は親御さんが何も言わずとも少しずつ自ら宿題もこなすようになり、長期休みの宿題も自分で計画を立てながら進められるようになっていきました😊✨

A君は元々プライドの高い子だったので、やらなきゃいけないことや周りからの視線などを気にするタイプでした。

それをこれまでは「どうせ親がしてくれるだろう・・・。」等とあぐらをかいていた状態が常となっていたのが、「自分でやらなきゃいけない」という感覚に変わっていったことにより、周りから言われなくとも自発的に動けるようになったのでしょう。

中学1年生、女子、Bちゃん

完璧主義傾向が強いBちゃんは、普段から宿題をこなすのに時間がかかるタイプでした。

それでも小学生までの宿題であれば難なくこなせていたのですが、中学生になると勉強も一段と難しくなりますし、宿題が出される教科が増えたことによって負担感が一層増してきたようです。

夏休み最後に「宿題が終わらない・・・💦」と泣きながら親御さんに訴えてきたようですが、いざ親御さんが手伝おうとしても自分でやりたい気持ちが強いBちゃんは親御さんのサポートを拒否しました。

到底数日で終わるような量ではないことは明白で、何度も親御さんから説得を試みましたが受け入れない状態でした。

結果、宿題は終わらず夏休み明けの初日から「学校行かない」と言い出し不登校になっていきました。

~支援を開始してから~

Bちゃんは人一倍責任感が強く完璧主義傾向も強かったので、学校や親御さんから言われたことはすべてこなさなくてはいけないという考えになっていきました。

それがいつしか「ねばならない」という呪縛に近い形になっていったようです。

そうなっていった経緯は様々ですが、大きな要因として親御さんの声かけがありました。

親御さんとしては1人娘のBちゃんをちゃんと育てていかなくてはという想いが強く、「こうしなさい(命令)」「ちゃんとやらないとダメじゃない!(指示)」等とBちゃんの行動に指示や命令をすることが多かったようです。

その為、Bちゃんは親(大人)の言うことは聞かなければいけないという考えになっていき、次第に自分で考えるという行為をしないようになっていきました。

その他にも、Bちゃんはいい意味での「まぁ、いっか。」という割り切りや、宿題などで分からない部分を飛ばして進むというやり方が苦手でした。

家庭では、親御さんが命令・指示・提案をすることを極力避け、子ども自身に考えさせる対応を増やしていきました。

その上で、訪問カウンセラーをご家庭に導入しながら、Bちゃんと一緒に宿題などをこなすことによって少しずつ割り切ることや分からない問題を飛ばす経験を増やしていきました。

最初は抵抗があったBちゃんも少しずつですが、自分なりに判断出来るようになりこれまで宿題をこなすのにかかっていた時間も半分以下に抑えられるようになっていきました。

かかる時間が短くなっていくことによって、Bちゃん自身の負担感も減り、宿題に対する苦手意識も少しずつ薄らいでいっているようでした。

復学してからもカウンセラーが後方支援のような形でBちゃんのことをサポートしていきました。

勉強だけでなく、学校でお友達関係や部活関連での悩みも多かったので、Bちゃんから話を聞きながら何を今優先して対応していけばいいのかなど一緒に考えました。

優先順位やBちゃんの気持ちの整理などができるようになっていくと、学校生活内でも上手く立ち回れるようになり、悩みすぎるということも少なくなっていったようです。

ご家庭でもBちゃんから少しずつ悩みや相談を受けることも増えてきたので、親御さんの意見やサポートなどをBちゃん自身が受け入れることも出てきたようです。

自分の力で何でもできればいいのですが、そんな完璧な人間は少ないものです。

自分の力量を把握し、できないところは素直に誰かを頼る力も社会で生き抜くためには必要であると考えます。

その事実にBちゃん自身が気づいていってくれたというのが大きな成長だなと感じました✨