「先生が怖いから学校に行かない。」

「先生怒ってばっかりで怖い・・・。」

などと学校の先生が理由で、行き渋りや母子登校の状態になってしまうケースというのは残念ですがあります。

目次

時代も変わってきましたので、昔のように頭ごなしに叱る先生は非常に減ってきている印象を受けます。

学校での指導する先生の立場というのも年々難しく感じておられる方も多いでしょう。

しかし、当センターにも学校の先生が怖いという理由で行き渋りや母子登校になってしまったというケースのご相談は少なくありません。

特に小学1年生の担任となると、子ども達からしても初めての学校の先生です。

その先生が予想以上に怒る先生だと、子ども側も委縮してしまいますよね・・・💦

ブログ読者のみなさん、こんにちは。スージー先生です😊

今回は先生が怖いという理由から母子登校になった小学1年生の女の子のケースをご紹介します。

一例にはなりますが、どのように母子登校を解消していったのか参考程度に読んでいただければと思います🌷

先生が怖いから学校に行かない子ども達

小学校に上がったばかりの1年生の子ども達にとって、学校の先生というのは非常に大きな影響を与える人ともいえるでしょう。

特に新しい環境である学校生活に慣れるためにあらゆることが“初めて”の子ども達にとっては、その際に手取り足取り教えてくださる“味方となってくれる人”という存在であって欲しいものですよね。

親御さんも学校生活の中の様子は見えないので、お子さんから話を聞くと・・・

子ども
先生がいつも誰かを怒ってて怖い・・・。

という話が出てくると心配になってしまいますよね💦

今回ご紹介する小学1年生の女の子(Bちゃん)のケースでも、上記のように親御さんに対してこう嘆くことがありました。

「そんなこともあるわよね。」と子どもの話を聞いていた親御さんも、次第に子どもから先生が怖いという発言が多くなっているのを感じていました。

そこから数日後、突然朝学校に行く際にお子さんが「学校に行きたくない・・・。」と言い、泣き出してしまいました。

驚いた親御さんは泣き出す我が子を宥めながらお母さんが付き添う形でなんとか学校に行ったようです。

それも数日経てばまた元のように学校に通うことができると思っていましたが、そう甘くなかったようです。

日に日に行き渋る様子は強くなり、学校でお母さんが離れようとしても大泣きしてしまい離れられない状態になっていきました。

初めは担任の先生や保健室の先生等に対応していただいていましたが、子どもから次第に「先生が嫌なの。お母さんがいい・・・。」と泣き出すようになってきたのをきっかけに、お母さんが授業中も付き添うようになりました。

お母さんが付き添っていると、子どもも安心するようで泣き出すことはなくなりました。

その日から、1日中お母さんがお子さんに付き添う母子登校がスタートしました。

1年生のクラス程まとめるのが大変

4月の入学式から晴れて小学生になった新1年生たちは、ついこの間まで保育園・幼稚園に通っていた子ども達です。

お子さん達の間でも同じ1年生とはいえ成長度合いは異なります。

授業中にじっとしていられず立ち上がる子もいれば、隣の席の子にちょっかいを出してしまう子、先生の話を聞けない子・・・・など様々です。

授業中にじっと座って先生の話を聞いていられる子の方が、少ないこともあるかもしれませんね😫

1人だけでもそういった子が居ると先生の立場からすれば大変に感じるものですが、何人もとなると収拾がつかないことも出てくるでしょう。

その場を収めるために大きな怖で「静かにしなさい!」「うるさいわよ!」などと注意されることもあると思います。

また、注意する姿を他の子ども達に見せることによって統制を取りたいと思われている先生も居らっしゃると思います。

お母さんが見た学校内の様子

お母さんが授業中もお子さんに付き添うようになってから、知るはずのなかった学校内の様子も見えてきました。

子どもから「先生が怖い」という話は聞いていましたが、親御さん目線からも先生の対応は怖いなと感じるものだったようです。

先生は親が子どもに対して怒鳴るように怒っていたそうです。

親御さんもお子さんに対して家庭内で叱ることはありましたが、怒鳴るようなことはなかったので、子どもからするとビックリしてしまったのだと思います。

もちろん、先生は感情任せということはありませんでしたし、ダメなことはダメというような形で原理原則に従って対応はされていました。

ただ、言い方ひとつで伝わり方も変わってきます。

親御さんとしては、確かに想像以上に先生が怖いというところは共感はできたものの、こういった先生はいるよねというレベルだったようです。

小学1年生の担任をするには少々厳しい先生ですが、間違ったことは言っていないと思われたようでした。

親御さんとお話をしていく中で、先生の叱り方が厳しすぎる点もあるけれども、先生を変えるということは現実的ではありませんし、むしろお子さんが今の先生でも問題なく対応できるような力をつけていくことがお子さんの将来にも繋がるのではないかという結論に至りました。

支援の中で見えてきた要因

支援がスタートする中で、親御さんと連携を取りながらまずはご家庭の状況や困っておられる点などをお聞きしながら整理するところから始めました。

先生にどう相談していいか分からない

母子登校となり、実際に先生が子ども達に叱っている様子を見た親御さんは、その様子を見てご自身の気分が悪くなってしまうこともあったようです。

そんな流れもあったので、先生に対してどの様に話をしていいものか・・・というのは大変悩まれていました。

実際、「子どもが先生のことを怖がっています。」なんて話はし難いなと思われる方の方が多いように思います。

先生に伝えたいという思いはあるものの、先生に対して攻撃的にならない方法というのは考えていきたいですよね。

子どもは学校でその後も先生とやり取りをし続けるわけですから、子どもにとって不利益にならないようにというところを考えられる方は多いように感じます。

子どもの性格傾向

支援を始めていくとBちゃんのケースとしては以下のような傾向が見えてきました。

🔶HSCの気質がある

先生がお友達に対して叱っているのに、自分も叱られているように受け取ってしまう。

※HSCについてまとめた記事です。

🔶感情のコントロールが苦手

思い通りにならずイライラした際に、どうしていいのか分からずすぐに癇癪を起しやすい

🔶初めてのことに対して不安が強い

初めての場所や人などに不安が強く、家族で出かける時も「行きたくない」などと行き渋ることが多い

🔶心配に感じることが多く、親に確認しないと不安になる

心配になるとすぐに親御さんに確認することがある

🔶厳しく叱られた経験が少ない

親御さんもBちゃんに対して叱ることはありましたが、声を荒げるような対応はこれまでされてきませんでした。

まだ小学1年生という年齢を考えると、これらの傾向があること自体はごく自然のように感じます。

ですが、学校という社会の場で生活することを考えると、しんどく感じてしまうことが多いのだろうなというのは安易に想像されました。

上記でも述べたように、親御さんとは今の学校社会にどうお子さんを慣れさせていくのか、親御さんが居ない状態でも安心してBちゃんが過ごせるようになるのかがポイントになりますねというお話をしていきました。

家庭での親御さんの対応の傾向

また、Bちゃんの家庭を分析していくと

🔷子どもが不安そうな顔をしたら親御さんが先回りしてサポートしてあげていた

🔷子どもの機嫌が悪くなると親が機嫌を取ることが多い

🔷子どもができないと泣き喚くと親御さんが提案やアドバイスをしていた

などが見えてきました。

親御さんにお話をお聞きしていると、Bちゃんが新しいことや失敗に弱い為家の外で嫌な思いをしないようにと親御さんが先回りして家で練習をさせたり、嫌な気持ちになるべくならないように気を遣っておられたようです。

特に親御さんだからこそ子どもが不安に感じているだろうな、ということが子どもが言わずとも分かってしまうのでつい先回りな対応をしがちだったようです。

また、Bちゃんは支援を受ける前から癇癪を起すことも多かったので、親御さんは無意識に子どもの機嫌が悪くなると解決策を親御さんが提示することも多かったそうです。

このような対応を続けてしまうと、どうしても子ども自身が自分で考えて行動するという流れが組みにくく親御さんなどから指示があるまで動かないという流れになってしまいがちです。

自分の感情をコントロールすることも親御さんが変わりにやってくれることが多いと、自分でするという流れもなくなります。親御さんが居ない場で感情が乱れてしまった時にどうコントロールしたらいいのか分からないという状態に陥ることも安易に想像されるでしょう。

家庭でできる解決法

そして、私たちカウンセラー側はご家庭の様子をお聞きし、お子さんの性格傾向や問題点などを分析してどの様な道筋で解決していくのがよいかという点を検討していきました。

学校の先生との連携

親御さんからは、担任の先生がBちゃんのことを心配されていたということは私も聞いていました。

私たちも支援を通じてたくさんの学校の先生方とお会いしてきました。

実際のところ、学校の先生は不登校や母子登校などのお子さんに対してどの様に接したらいいのかという部分で悩まれている方は多いように感じます。

今の時代、先生という立場でもやり過ぎてもダメ、やらなさ過ぎてもダメとなることが多いので慎重に対応されている方が多いようです。

ですので、親御さんから先生に対して家庭としてこのような形で進めていこうと思っているという考えやお気持ちを伝えたり、先生と連携をとってやっていきたいという旨を伝えたりということはお互いに共通認識を持つという点で大事になってくるでしょう。

「言わずとも分かってくれているだろう」という考えで動いてしまうと、連携も取れませんし、お互いに不満が募るということも少なくありません🙅‍♀️

先生に伝える前段階で、親御さんとBちゃんとでどういうところが気になるのか、又は配慮をもらえると安心して過ごせるのかなどを相談する場を設けました。

これもしていただけるのかというのは先生に話してみないと何ともですが、例えば叱る時に大声を出し過ぎないようにということができないか、Bちゃんが学校で何か先生に相談したいことがあった場合にBちゃんから声をかけるのではなくその前段階で先生と合図を決められないかなどが出てきました。

先生にお伝えする時のポイント💡ですが、

①日頃の対応に対する感謝の気持ちからスタートする

②現状とこれからについて家庭の方針を伝える

③学校の先生と連携したいという親の気持ちを伝える

④その上で上記の配慮の部分をお願いしてみる

これらが挙げられるでしょう。

学校側にお願いする配慮としても、よっぽどのことや学校運営に置いて支障が出るようなこと以外であれば快く引き受けてくださることも多いです。

ただ、Bちゃんとしてもいつまでもこの配慮があるという形にしてしまうと、配慮がないとできないという流れになってしまうことも想定されます。

そこは避けたいですので、配慮をしていただく期間(約1ヵ月など)は先生と相談しながら決めていくのがいいように思います。

家庭内での親御さんの対応へのアドバイス

Bちゃんの性格傾向やご家庭での対応の傾向などから、Bちゃんが学校という社会でも問題なく1人で生活していける土台を作っていくことを意識して親御さんに対応をお伝えしていきました。

子どもが自らお願いする・相談する流れを作る

 これまで親御さんが先回りして子どもが相談したいかな?と思っているタイミングで声をかけていたのを、子どもが自ら言ってくるまで待つ対応に変えていきました。

子どもの感情が高ぶった時に自分で整理する時間を与える

 子どもの感情が高ぶった時に、あえて親御さんが子どもの相手をし過ぎないようにし、子どもが自分の気持ちと対峙する時間を作りました。

どうしたらいいか分からない状態になった場合、一緒に考えてあげる

 自分の思い通りにいかない時やどうしたらいいか分からない時に癇癪を起す傾向がありましたが、親御さんが一緒に子どもと「どうしたらいいかな?」を考えてあげ、次第に子どもが1人で答えを出せるような流れに変えていきました。

この他にも細かい対応はありますが、これらの対応を主に親御さんには意識していただきました。

家庭内においてBちゃんが自分で気持ちの整理ができる・自分の気持ちを相手に伝える・何かあっても自分で対処していくという流れを作り、学校などでも実践できるのかというのを見ていきました。

親御さんの付き添いを短くしていく方法

親御さんの家庭内での対応を変えていくことで、子どもの自立心や社会性を培う環境を整えましたが、それだけではなかなか母子登校の解決には至りませんでしたので、具体的に親御さんの付き添う距離や時間を短くしていく方法も同時に行っていきました。

この対応は、一概にこうすればいいというものでもなく、お子さんの様子やご家庭の環境なども大きく影響していきます。

特にお子さんの様子に関してはその日のコンディションも影響してきますので、親御さんの「今日はいけそうだな」という感覚も大事にしていました。

Bちゃんのご家庭は、授業中まで親御さんが教室の後ろで座っておられる状態でした。

その状態から学校の先生とも相談をして、以下のような流れでお母さんの付き添う時間や距離を短くしていきました。

先生の許可を得て別室で待機する時間を作る

  ⬇️

別室待機の時間を増やす

  ⬇️

お母さんが家に帰る時間を早める

  ⬇️

教室で別れる

  ⬇️

校門で別れる

  ⬇️

通学路の途中で別れる

  ⬇️

登校班の集まる場所で別れる

  ⬇️

玄関から一人で登校する✨

ざっくりですがこのような流れでお母さんの付き添う時間と距離を短くしていきました。

この流れの中でも紆余曲折はありましたが、子どもと相談して決めることや親御さん判断で進める場合もありました。

親御さんからの声

これまで子どもの為によかれと思ってしていたことが、ペアレンツキャンプの支援を受けて殆どが先回りな行為だったと知り驚きました。

PCM(ペアレンツキャンプメソッド)を学び、なるべく過干渉にならないよう、本人の行動に任せてみたところ、朝の起床や翌日の学校の準備等我々が思っていた以上に自分で自発的にできる様子が見られました。

こんなにも自分でできるんだ・・・ということに驚かされ、いかに我々親が子どもの潜在的な自己解決力を閉ざしてしまっていたのだろうかと痛感しました。

母子登校をしている時は、教室の中で授業まで受けていたので他のお子さんを見て「みんなは1人で授業を受けられているのにどうして我が子だけ・・・」と自分を責める毎日でした。

また、学校の先生が怖いという娘の言葉も授業中の様子を見ると理解できたので、どう対応していけばいいのか親として悩む毎日だったので、一つ一つ担当の先生に確認しながら進めていけるのは心強く感じました。

私が教室に居る時間を減らすところから初めて、次第について行く距離を減らしていく・・・という流れでやっていきました。

そんな中でも娘から学校で嫌なことがあったという話が出た日は「次の日から学校にまた行けなくなるんじゃないか・・・。」という不安も大きかったです。

私の不安な気持ちも電話カウンセリングで聴いてもらい、受け止めてもらえたのは私の心の安定にも繋がりました。

一筋縄ではいかない母子登校でしたが、娘がこの状況になったからこそ我々親も「このままじゃまずい」と捉えて一緒に頑張ることができました。

支援を卒業すると毎週先生とお話ししていた日々が無くなるのか・・・と寂しく感じますが、ペアレンツキャンプで学んだことをこれからも実践していき家族で乗り越えていきたいと思います。

〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️

Bちゃんのお母さんからいただいたメッセージの一部です💌

母子登校などお子さんの登校状態が不安定になると、お子さん自身のメンタルも不安定になりやすく、その様子を見た親御さんも影響を受けやすいというのは支援でもよくお見受けします。

親御さんのメンタルが低迷することは珍しくなく、お子さんに対しての対応もブレてしまう・・・ということも実際多いようです。

支援を進めていく中でも親御さんの気持ちなどもお聞きしながら、私との電話カウンセリングなどで愚痴を吐いていただき、また気持ちを立て直してご家庭に戻っていただくという流れはどのご家庭でもあるように思います。

何処まで対応してよいのか?どのタイミングでなのか?というご質問は支援の中でも親御さんからいただきますが、正直ケースによるというのが本音です。

タイミングの見極め方は私たち専門家でも意見の分かれる部分ですので、慎重に見極めています。

長くなりましたが、母子登校の解決と言えど簡単ではありませんのでご家庭の負担も大きくなりがちですが、今回の記事を参考にしていただけると幸いです😊