夏休みが明け、当センターへの支援に対してたくさんのお問い合わせをいただいております。
・不登校から復学を目指したいというご家庭
・子どもが不登校中だけど「どう関わればいいか?」悩まれているご家庭
・子どもの行き渋りに悩まれているご家庭
・付き添い登校しているけど「このまま続ければいいの?」と悩まれているご家庭
などなど、様々な状況のご家庭からご相談をいただいています。
それぞれのご家庭のお話を聴いていて、私たちが思うことはお問い合わせいただいているご家庭すべてが「子どものためになんとかしてあげたい!」という思いを持ってご連絡いただいていることです。
その思いになんとかお応えできるよう一件一件丁寧にお話を伺っています。そのお話の中から私たちから見た家庭の状況の見立てや、私たちが何をお手伝いできるのか、お伝えしています。
現在も「無料個別相談」は開催中ですので、ご興味のある方はご利用ください。
子どもたちは二学期のスタートということもあってここまで気を張りながら頑張っていた子どもたちも、だんだん緊張感が薄れ、疲れが見え始めるころです。
支援中の親御さんから
などご相談いただくことも増えてきています。
この「やる気」。よく「やる気を引き出す」という塾の広告などを観ますが「塾に通う」時点で「勉強へのやる気」があるとも捉えられます。なので、「やる気を引き出す」のではなく、「やる気のある子をさらにやる気にさせる」という表現が正しいのではないかと思います。
なので、「やる気」を引き出すのではなく今ある「やる気」を失くさせずにさらに「やる気」を育てるための家庭の関わり方について解説していきます!
目次
そもそも「やる気」とは?
心理学において、「やる気」は「動機付け」という言い方をされることが多いです。
やる気が出ている状態というのは、動機付けが上手くなされている状態と言えます。
「動機付け」は、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2つに分けられます。
①外発的動機付け
外部からの要因(他者からの評価や賞賛、ご褒美や罰など)によって生まれる動機付け。
例:叱られたくないから勉強をする。おもちゃを買ってもらうためにお手伝いをする。
②内発的動機付け
内面的な要因(興味や好奇心、楽しさ、達成感、有能感など)によって生まれる動機付け。
例:自分の将来のために勉強をする。新しいことにチャレンジしたくてお手伝いをする。
外発的動機付けと内発的動機付け、皆さんそれぞれどちらも経験があるかと思います。
子どもたちも同じで、何らかの要因でこういった動機付けが行われると、やる気を出して物事に取り組むようになります。
「内発的」と「外発的」
「内発的動機付け」と「外発的動機付け」という分け方をすると、「外発的動機付けはよくない」というイメージを持たれやすいですが、これは一概に言えるものでもありません。
例えば社会人でも、「上司に認められたいから」「給料が欲しいから」「昇進したいから」などの理由で仕事を頑張るようになるのは、決して悪いことではありませんよね。
子どもでも同じことで、外発的動機付けによってきっかけを与えてあげることも時には効果的です。
とはいえ、長期的に見ると「外発的動機付け」では「やらされ感」が強くなりやすく、長続きしない傾向はあります。
例えば「親が見ていなければ一切勉強しない」「おもちゃが買ってもらえないならお手伝いしない」というのもよく見られるパターンですね。
また、次第に子どももその状況に慣れていくので、「叱られてもいいからやらない」「もっと高いおもちゃ買ってくれないとやる気にならない」など効果が薄れていく可能性は大いに考えられます。
その点、「内発的動機付け」の方がやる気が長続きしやすいのは確かです。
そのため、子どもが継続して何かに取り組めるようになるには、「親がいかに外発的動機付けを行うか」よりも、「子ども自身がいかに内発的動機付けを行うか」というところがポイントになります。
内発的動機付けを考える上でカギになるのは、以下の3つであると言われています。
1)自律性
誰かに指示されて動くのではなく、自分自身で考えた規範に従って行動すること。
2)有能性
自分ならできる、自分には能力があると感じること。3)関係性
周囲とより良い関係を築くこと。
これらに対する欲求が高まることで、内発的動機付けが促進されると言われます。
つまり、子どもの中にあるこれらの欲求が高まれば、やる気を持って主体的に物事に取り組むことができるということです。
「やる気」を育てる関わり方4つ!
では、そのために親はどう子どもと関わるべきでしょうか?
4点まとめておきました。
①子ども自身に考えさせる
子どもが考えて答えをするよりも先に親が答えを与えることは避けておきましょう。
子どもが答えを出すまで本人に考えさせることを意識しましょう。
どうしても子どもが答えを出せないときは「気付き」に繋がるヒントを出すように心がけましょう。
例えば、子どもが勉強をしているとき、「わからない」と言ってきたとしましょう。
ここであえて、子どもに「答え」を直接伝えるのではなく、「どうやるんだったかなぁ?」とあえて惚けてみせます。そして、「一緒に見てみようか?」などと伝えて一緒に見る。どこがわからないかを確認しつつ、「気付き」になるヒントだけを出してやって考えさせる。
そして、子どもが「答え」にたどり着くと「できた!」という経験になる。
親も時間が限られていますし、常にこうするのは難しいかもしれませんが、できるときはこのような意識を持ってあげると「考えて答えを出す」という経験を子にさせてあげれるかもしれません。
・自分で選んだこと
・自分で決めたこと
・自分でできたこと
は、内発的動機付けに繋がります。
時には失敗を繰り返しながら、「もっとこうしたい」「もっとこうありたい」という感情が子どもの中に生まれてくる過程を、本人に経験させてあげることも大事です。
②信じて見守る
子どもが自分自身で「自分なら大丈夫」「頑張ればできる」と思えると、内発的動機付けが高まりやすいです。
そのためには、まずは「あなたはできない」というメッセージを親から発信しないことが必要です。
「だからあなたはダメなのよ」など言葉で直接伝えるわけでなくとも、知らず知らずのうちに子どもにそういったメッセージが受け取られてしまっている、ということがあります。
例えば子どもが何かしようとしたときに、「それをするより、こうした方がいいよ」と親が毎回ストップをかければ、子どもは「自分の考えはダメなんだ」と思うようになるでしょう。
そうならないよう、まずは信じて見守る姿勢を心がけてみましょう。
③できていないことを非難するよりも、できたことを認める
②にも通じる話ですが、子どもの「できないこと」「できなかったこと」に注目するよりも、「できること」「できたこと」をしっかり見てあげましょう。
例えば100点満点のテストで子どもが20点を取ったとき、親は”できなかった80点の部分”を指摘しがちですが、”できた20点の部分”を見てあげることも大事です。
その上で、「こういう問題はしっかり解けているね」など子どもに伝えてあげるのも良いでしょう。
④子どものやる気を削ぐ対応を避ける
親は子どもの「やる気スイッチを押す」ことよりも、「やる気なくさせスイッチを押さない」ことを意識しておけると良いでしょう。
親からの一言(特に否定的な言葉かけ)で子どもがやる気を失う、というのはよくあるパターンです。
親が注意したり叱ったりというような「外発的動機付け」は、あくまで一時的な効果に過ぎず、何度も行っているとその効果が薄れていきます。
また、「内発的動機付け」の過程で意図せず「外発的動機付け」をされると、内発的動機付けが阻害されるという話もあります。
長期的な目線で子どもの自立心を育むためには、「子どもの内発的動機付けを阻害しない」ことを意識しておきましょう。
まとめ
傍から見るとやる気がないように見えても、実は子どもの中ではいろいろ考えていたり、悩みながら自分を奮い立たせていたりすることもあります。
そもそも「やる気がないように見える今の状態を変えさせなければいけない」「やる気を出させなければいけない」というわけではなく、根本的には子ども自身の問題と捉えておくことも大事ですね。
その上で、親として何か意識しておくべきことはないか?と迷われたときは、今回の記事をぜひ参考にしてくださいね😀
りーぽ先生🦊